役員に賞与を支給したいけど…どうする?
令和2年9月に鹿児島市で開業いたしました、税理士の橋本和典です。これから、毎週金曜日にこのブログで皆様のお役に立てるような情報や面白い事を書いていこうと思います。よろしくお願いします。
今回は役員賞与について書きます。
結論から書くと、役員への賞与は原則支給できません。ただし手続をすれば、支給する事が可能です。
(1)原則は経費にならない!どころか税金的には最悪!
役員への給与は一定の理由がない限り、期首から3ヶ月を経過して変更できません。(変更すると、差額分が否認されます。)
役員への給与は毎月一定額を支給しなければならず、賞与を支給すると一定額になりませんので、ダメです!因みに否認されると、①法人の経費にならず、法人税等が増える。②賞与に対する所得税や社会保険料は取られます。
ダブルパンチです\(゜ロ\)(/ロ゜)/
ただし、シッカリ手続を踏めば、賞与として経費に算入することが可能です!
(2)役員への賞与を経費に算入する手続
定時株主総会で役員賞与の詳細を決定する。
決算後に役員報酬の変更について、株主総会において承認を得て、議事録を作成しますが、その際に、役員賞与の支給についても記載しておきます。①誰に②支給日③支給額をシッカリ記載しておきましょう。
事前確定届出給与に関する届出書
付表(事前確定届出給与等の状況)
を下記期限までに税務署に提出します。
【期限】
①株主総会から1ヶ月以内
②事業年度開始から4ヵ月を経過する日
のうち①、②のいずれか早い日が期限です。
株主総会は会計期間が終了して2ヵ月後に開くことが多い(決算計算書類は承認が有りますので)ですので、通常は①の方が早くなります。
(例)3月決算で5/20に株主総会を開いた場合
①株主総会から1ヶ月以内…6/20
②事業年度開始から4ヵ月を経過する日…7/31
①、②のいずれか早い日は6/20が期限になります。
(3)注意点 届出の支給日と支給額がズレたら否認!
届出の支給日が1日でもズレて支給されたり、支給額が1円でもズレて支給したら否認されますので注意してください。否認されてしまうと、経費にならず法人税等が増えて、所得税も課税されますので気をつけましょう!
まとめ
一応、この事前確定届出給与を使えば、利益操作は可能といえば可能です。役員への賞与は事前に税務署への支給日と支給額を届出れば、経費に算入することができます。
支給日と支給額を確定して届出を行ってその通りに支給しなければ全額否認されてしまいますが、中途半端に支給するから否認されるのです。逆に、全く支給しなかった場合には、支給額が0円なので、否認額が0円となり影響ありません。
例えば、今期の業績が良ければ、そのまま支給して問題ありません。今期の業績が悪ければ、支給しなければOKです。
ただし、年2回支給の場合、1回目は支給、残りは支給しないという方法は出来ませんので注意しましょう!