小規模宅地の特例等の評価減について

 令和2年9月に鹿児島市で開業いたしました、税理士の橋本和典です。これから、毎週金曜日にこのブログで皆様のお役に立てるような情報や面白い事を書いていこうと思います。よろしくお願いします。

 今回は小規模宅地の特例等の評価減について書きます。

 相続税の課税価額を計算する際に、相続人または被相続人と生計を一にしていた親族の事業用、居住用(区分所有建物以外の1棟の建物の敷地については被相続人の親族の居住用部分を含む)または不動産貸付用の宅地等で建物又は構築物の敷地の用に供されているものについては、一定の面積まで、80%又は50%の減額があります。

 1.特定居住用宅地等の特例

 被相続人が居住していた家屋の敷地については、最大330㎡まで80%の減額があります。
〈取得者の要件〉
配偶者又は生計一親族が取得
〈居住継続要件〉
同居の親族の場合、相続税申告期限までこの家屋に居住していることが必要
〈保有継続の要件〉
同居の親族の場合、相続税の申告期限までこの宅地等を保有していることが必要 その他に、被相続人が老人ホームに入居している場合や同居の親族がいない場合でも、一定の要件に該当する場合は、特定居住用宅地等の特例の適用がある場合があります。

 2.特定事業用宅地等の特例

 被相続人又は被相続人と生計を一にする親族の不動産貸付業等以外の事業に利用している宅地等については、最大400㎡まで80%の減額があります。
〈取得者の要件〉
事業承継者が取得(被相続人と生計を一にする親族の事業用の場合は、その事業を行う親族が取得)
〈事業継続の要件〉
相続税の申告期限までその宅地等の上で事業を営んでいることが必要
〈保有継続の要件〉
その宅地等を相続税の申告期限まで保有していることが必要

3.特定同族会社事業用宅地等の特例

 相続税の申告期限まで、次の法人の要件に該当する法人の不動産貸付業等以外の事業に利用している宅地等については、最大400㎡まで80%の減額があります。
〈法人の要件〉
相続開始直前において、被相続人及びその親族等が有する株式の総数が、発行済株式総数の50%を超えている法人であること。
〈取得者の要件〉
相続税の申告期限において、この法人の役員であることが必要
〈保有継続の要件〉
その宅地等を相続税の申告期限まで保有していることが必要

 4.貸付事業用宅地等の特例

 被相続人が、不動産貸貸付業や駐車場業等の貸付事業に利用していた宅地等については、最大200㎡まで50%の減額があります。
〈事業継続の要件〉
その宅地等を取得した者が、その貸付事業を相続税の申告期限まで営んでいることが必要
〈保有継続の要件〉
その宅地等を相続税の申告期限まで保有していることが必要

まとめ

 如何だったでしょうか? 減額は土地のみですが一定割合によって評価額を大幅に減少することが可能となるため、有効に使えば大きな節税効果をもたらすことが可能です。一方で、小規模宅地等の特例については、その要件が細かく定められているため、具体的な事例によってそれが適用されるかわかりにくい場合もあると思われます。計算についても、複数の土地がある場合等には、計算が複雑でわかりにくい場合があります。ただ、知ってると知ってないでは大きな評価額の差がでてきます。事前に相続対策を行うのが肝要ですね!